竜平

さよなら、僕のマンハッタンの竜平のレビュー・感想・評価

3.7
ニューヨークにて何やら想いを寄せる女性や家族の問題に揺れながら暮らす青年トーマス、とそこへちょっぴり風変わりな隣人が現れて、というところから始まる話。マーク・ウェブによる青春ドラマ。

マーク・ウェブと言えば「若者の青春模様」的なとこあるよねー。さすが得意分野?と言うべきか、わりと淡々と進んでいきつつ、またシンプルな構成でもあるのに、音楽や良き雰囲気も相まって気づいたらストーリーの中に入り込んでしまってる感じ。若手俳優カラム・ターナーがこれぞ「若者」な拗らせ青年の主人公を演じてる他、ジェフ・ブリッジス、ピアース・ブロスナン、ケイト・ベッキンセイルらベテラン勢が脇を固める。で、爽やか系の内容かと勝手に想像してたらじつは結構ドロドロ系。男と女の間で起こる、わかりやすくもややこしい、時には止めようのない感情。恋愛の駆け引きみたいなものとか、嫉妬やら何やら、どこか共感してしまう人もいるんじゃないかなと。愛憎模様はどことなくウディ・アレン作品を思い出させる、いや本当にどことなくね。

親への想いやら、恋愛の歯痒さやら、一人の若者の成長へと繋がっていく流れに加えて、また「作家」という職業とストーリーの掛かり方もなかなか良き。「人生とは作為的であり無作為でもある」というような言葉がハマりまくってたなと。あとしれっと貼られてた伏線が終盤で回収される様が気持ちいい。テンポの良さと短めの上映時間と、スッキリとした構成で軽めに楽しめる一本。邦題だけどうにかしてほしいで賞。
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