Sasada

真っ赤な星のSasadaのレビュー・感想・評価

真っ赤な星(2017年製作の映画)
3.8
監督の長編デビュー作、初日舞台挨拶付きで鑑賞。

“風”が印象的な映画である。
予期せぬタイミングで吹く風に、上手く乗れない彼女たちの物語である。

羽をつけて空を飛び、思い通りの場所に着地できる賢吾のような男もいれば
誰かのガイドがなければ目的地にたどり着けなかったり、
そもそも飛んでいる彼女たちを地上から見ることしかできない弥生や陽みたいな女もいる。

親との関係がうまくいかないこと
好きな人の好きな人が自分では無いこと
こんなに好きなのに彼の/彼女の悲しみを理解できないこと

弥生と陽の人生は足りないものばかり。しかも、努力でどうにかできるものではない。
陽は弥生にはなれないし、弥生は陽にはなれないのだ。

「今まで映画に救われてきた」と井樫監督は仰っていたが、この映画における救いは二人が思いっきり泣くところ、思いっきり抱きしめてあげるところなのだろうと思う。
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