mさん

ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結のmさんのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

単なるドンぱち映画じゃなくて
実は過去から続くアメリカの汚点や
昔から連綿と続く権威主義
に弱い立場の人間たち代表(スーサイドスクワッド)が立ち向かい、ぶっ潰すという
痛快なアメリカ批判のメッセージがあって驚き。

まずスーサイドスクワッドのメンバーは
黒人や女性や子供や病気を患った人たちなど
過去、又は現在の歴史において社会的に弱い立場とされる人達の象徴として描かれている。

又スターフィッシュ計画のスターはアメリカの星条旗でありアメリカを表したもので、スターが街を襲い自らのものにしようとするのは、過去アメリカが土地を開拓して自らのものだと言った植民地時代の表象として描かれてる。

この過去の忌まわしいアメリカの汚点が
また繰り返されようとしていて
それをスーサイドスクワッドがやっつけるという構造が痛快で理屈としては面白い。

あとスーサイド・スクワッドのピースメイカーが皮肉めいたキャラで好き。平和をもたらすことを政府の言いなりで国民に真実を隠すという実に皮肉めいたやり方で実践しようとするのが面白かった。またそれを止めるのがロバートなのもいい。

あのアメリカの平和の象徴といわれたピースメイカーのマスクにバトルが映っている演出が好き。
傍観してみてるしかない観客という感じにも見えるし、アメリカの平和について戦ってる感じが出てて好き。

ただ理屈としては面白いけど、ちょくちょく乗れない部分があって、結局最終的にはスカッと感がない映画で終わってしまった。
乗れない部分はやっぱり人の死の描き方。勿論全部ダメってわけじゃない。主に2つ。
1つは村の民間人を敵と間違え全員殺す展開
ピースメイカーとロバートの俺の方が上手く殺せるよバトルは最高に楽しいんだけど、だんだん敵が全く向かってこないし、普通に生活してるのに気がついて、あれこれ一般人じゃね?と気づいてからずっと楽しめなかった。アメリカってズカズカ入って勝手に物事を決めるよねっていう意味もあるからいいんだけど、スカッとできないことに変わりはない。

もう1つは
アブナーの死。それまで人の死とかに全部意味があったのに、ここは意味を感じなかった。単なるギャグ的に彼の死が処理されてしまって、冒頭のあまり思いれのないスースクとか敵にならいいけど、こっちがある程度感情移入しだしてるメインキャラをギャグで殺すのはやっぱり気持ち良く見れない。特に意味が見当たらないのに死ぬのは良くわからなかった。

最初のスーサイドスクワッドのメンバーが全員死んでいくのは、スーサイドスクワッドはアメリカの権威である政府に完全に管理されてて、何も期待してないし、使い捨てで価値がないと思われてるという文脈で観れるからいいんだけど…やっぱ無駄な死があると気分が沈んじゃうし、それが盛り上がる所にあるのであまり乗れなかった。

好きな点とか面白いところもある。

ハーレーのお花畑アクションは最高。
あと、あそこのアクション。荒唐無稽さを出すためにカメラにわざと人がぶつかってカメラごと倒れるみたいな演出が好き。あとハーレーに首をおられた人がバウンドするの好き。

あと隠れて相手を偵察しているので
それを表現するカットとして
門の装飾越しに向こう側を映すのは面白い。たしかに隠れて偵察してるんだという気持ちに、実際にそうしてる彼らが映る前から感じることができる。上手いと思った。

あとこれからの方向性を一瞬で煙とか木とか根っことかで表現するのが好き。無駄ない。
mさん

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