このレビューはネタバレを含みます
妹を探すためフィンランドにやって来たシリア人難民のカーリドと、運良く手にした大金でレストランを開いて再起を狙うヴィクストロムの出会いをもとに、登場人物達の緩やかなユーモアを挟みつつ現代の欧州における難民問題を真正面から扱った秀作。
さすが名匠アキ･カウリスマキ、映像で物語を紡ぐ手法がとにかく巧みで、見る側も会話や映像が指し示す事から物語を読み解く楽しさを能動的に味わえる。
ヴィクストロムが経営するレストランの従業員達のオフビートなやり取りが、揃いも揃ってみんな強面なのが余計フリになっていて笑える。レストラン繁盛のために打ち出した起死回生の一手に、日本人として大いに笑った。ニシン寿司のビジュアル(笑)
ラストの妹を見送る後ろ姿のショットに希望を感じてじわり涙が浮かんだが、その後のカーリドの姿が決してハッピーエンドでないところに、問題は現在も解決しずに目の前に横たわっていることを重く感じる。
