めちゃくちゃ良かった。直近の2作がイマイチ合わなかったので不安だったけど蓋を開けたら最高だった。大好きなカウリスマキが詰め込まれていた。
見たいものを見れる安心感というのは作家の進化や実験性とは相反するようでいてしていない。観客が求めているものではなく、自分の作りたいものを作っているという意思が見えるのも良い。スタイルを維持しながら質を下げず過去に甘えず高品質な傑作を作り続けると言うのは、観客への目配せだったりファンへの甘えだったりがチラとでも出たら成立しないと思う。徹底して自分のスタイルを信じて作っている。映画を利用して問題提起し続けているのも良い。押し付ける意見ではなく現実の問題点をドラマに組み込んで提示するだけだ。カウリスマキのこの独特なスタイルはそのためにあるのではないかと思うくらいテーマに合っていた。
説明などせず情景で語る演出の旨さも最高潮。
主演の青年が素晴らしい。いい顔をしている。出会った友人とのやり取りも熱い。
通常運転なレストラン話と移民青年の話が交互に展開されているところが新鮮な味わいを深める。
ここまで寡黙に見せてきたからこそクライマックスで「素敵なものを運ばせてもらったんだから〜」ってタバコを吸うシーンがキマる。
あんなにうるうると懇願するような表情をした犬を見たのは初めて笑
こんもりわさびが映るたびに「おいおいおい！」って声が出てしまう笑
