ロックウェルアイズ

少女邂逅のロックウェルアイズのネタバレレビュー・内容・結末

少女邂逅(2017年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

いじめを受け、自分の声を出せなくなった小原ミユリ。
唯一の友達はカイコのツムギ。
しかしそのツムギをも失い何も無くなったミユリの前に富田紬という少女が現れる。

レビューまでだいぶ時間が経ってしまった。
ただ、時間が経てば経つほど好きになっていく。
荒削りで自主制作映画っぽい部分もあるが、枝監督の才能を存分に感じる映像表現に心が震えた。

親友の裏切り、いじめ、救世主、田園風景、沖縄旅行、援交……etc
枝優花版リリイ・シュシュのすべて。
好きにならない訳がない。
淡くて脆くて神秘的で残酷な青春譚。
恋なのか友情なのか。
そして何よりも全編に散りばめられた蚕のメタファーがすごい。
カイコは人のために生み出された家畜昆虫。
ツムギは紛れもなくカイコであり、カイコが人のために絹糸を紡ぐように、ツムギはミユリが生きていくために現れ死んでいった。
ツムギと強く繋がっていた糸もまた、ミユリがカイコが蛾になるように現実を痛感した途端にプツリと切れる。
近づきすぎると糸が絡まるから分けなくてはいけない。
親友とてそれぞれ別の人間。
それぞれの事情があって、それぞれの世界がある。
2人の間にある見えない大きな壁。
全編を通して漂っている閉塞感と緊迫感。
その危うさがどこか心地良いような悪いような。
夢と現実、少女と大人。
狭間で揺れる不安定な感情が表れている。
メインのお二人の存在感も素晴らしかった。
どんどん好きになって半年後にはオールタイムベストになっていそう。また観たい。