Utopia

女と男の観覧車のUtopiaのレビュー・感想・評価

女と男の観覧車(2017年製作の映画)
3.6
観覧車のようにじわじわと回る、大人たちの事情のもつれ。カラフルながらもどこか憂いのある観覧車のネオンは、まるで将来の見えない彼女の人生のよう。

理解のある劇作家を夢見る学生との不倫におぼれつつも、その関係性を脅かす現夫の連れ娘の存在に嫉妬する主人公のそれはまさに中年の危機そのもの。過去のなけなしの栄光に縋るように、今を生きる彼女はもはや亡霊といっても過言ではない。また皮肉なことにケイト・ウィンスレットの美しさが際立ってか、当時は期待の新鋭舞台女優だったという設定が生きる。
うらびれた結婚生活から抜け出せると思った希望にも見えるミッキーも、実態は知性に自惚れた小さな男だったりする。アレン映画ではおなじみの独り言が多い早口男を、天性のスター気質をもったような人であるジャステイン・ティンバレイクが扮するのもまた一興。

ラストの寸劇はまさに彼女の独断場。夢に見た女優然とした立ち振る舞いはピリオドにふさわしく、終幕に逃げ場のない人生の墓場を見せられた。
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