この作品の舞台となっているコニーアイランドは、ニューヨークのブルックリンの南端にある近郊型リゾートだ。原題でもある「Wonder Wheel」(それにしても邦題の「女と男の観覧車」はひどい)は、文字通りこのコニーアイランドを象徴する観覧車だ。この観覧車を目の前にした部屋に住む一家が主人公。妻である元女優のジニー(ケイト・ウィンスレット)は、若かりし頃のスターとなる夢を諦め、いまは回転木馬のメインテナンスをする夫ハンプティと再婚していた。この家族の部屋から見える観覧車の映像が印象深く挿入される。
この一家の元に、やくざ者と出奔したハンプティの娘キャロライナが戻ってくる。ジニーは、海岸で監視員をしている劇作家志望の学生と不倫の恋愛を楽しんでいたが、キャロライナを探しにやってきたギャングの出現で、生活は風雲急を告げる。コニーアイランドは、この作品の監督ウディ・アレンの出世作である「アニー・ホール」でも、登場したが、どうもこの作品に登場する放火癖のある、一家の息子は、彼自身の投影ではないかと思った。
コニーアイランドの賑わいと観覧車の絡みが、この作品のもうひとつの見所でもある。たぶん、ウディ・アレンはこの遊園地に特別な思いを抱いているにちがいない。ケイト・ウィンスレットと不倫の恋を演じる若者をジャスティン・ティンバーレイクが演じており、いつになく華やかなウディ・アレン作品となっている。マンハッタンからだと地下鉄の終着駅になるコニーアイランドに、思わず出かけてみたくなる。
