けまろう

悪女/AKUJOのけまろうのネタバレレビュー・内容・結末

悪女/AKUJO(2017年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

『悪女』鑑賞。結構前からアクションシーンが話題になっていたので気になって鑑賞。もうカメラワークがとんでもないことになっていて目が離せない!『キングスマン』はスマートでカッコよかったけど、こちらは荒々しい野性的な良さを感じた。
暗殺者として育てられた主人公のスクヒは、最愛の人の仇である組織を壊滅させた挙句、政府お抱えの暗殺者ヨンスとして顔を変えて生きるという人生を歩むことになる。この「仮の人生を生きる」ということが映画全体に蔓延していて、寝転がってるシーンを縦に写すカットが多く、彼女の人生にはある種の強制的な力が働いていることを暗示する。特にクライマックスのバス転倒シーンなどは顕著。新しい顔で嘗て愛した男と対決するというこじれ具合が縦と横もわからないカメラワークへとつながっていく。
彼女の本来のスクヒとしての人生では、最愛の娘を失い、収監時代の友人を失い、スクヒとしての要素が徐々に消えていく。また、ヨンスとして愛していた男も失う。母と暗殺者という二つの顔を持つが故の悲劇だ。最後、嘗てスクヒ時代に愛していた男をその手で殺し、彼女が悪魔のように不気味に笑って物語は終わりを告げる。スクヒとしてもヨンスとしても幸福を掴めなかった彼女が辿り着くのが悪女なのだ。
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