YasujiOshiba

囚われた国家のYasujiOshibaのレビュー・感想・評価

囚われた国家(2019年製作の映画)
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ネトフリ。ふ〜ん、そうですか。なんだかひと時代前の抵抗運動映画を見ているみたい。小さな共同体が抵抗の原動力だという話。その中心にいるのは元歴史教師の娼婦を演じたヴェラ・ファーミガ。それはよい。レジスタンスというのは、なるほどこういうものだ。

全体に微妙なところでヨーロッパの映画って感じ。救いはウクライナ移民の2世というヴェーラ・ファーミガの瞳。それが画面あるだけで救われる。たとえ空虚だとしても、空虚の質が違う気がしちゃう。

でもSFではないな。得体の知れないエイリアンは「虚仮威し」で、実質はむしろ人間的、植民地主義的、帝国主義的、資本主義的。その意味で、第三世界の抵抗のあり方を鼓舞しながらの自己批判的な映画。

それはよいのだけれど、SFにしないほうがよかったんじゃないかねとは、思っちゃうよね。

ふう、寝ますわ。

2023-1-11 追記

半年前に見てたんだね。見た気がしたんだけど、見直し始めると、面白くなって最後まで。ヴェラ・ファーミガのことはよく覚えていたのだけれど、ジョン・グッドマンのラストシーンのことはすっかり忘れてた。というか、たぶん最初に見た時は酔っ払っていて、あのどんでん返しがよくわかっていなかったんだな。今、ウィキペディアの英語版で再確認。なるほど、そういう結末だったのかと納得。

それにしてもいい絵だな。リズムもよい。エイリアンの描写も抑制されていて不気味だし、ハンターの長い手足とゴシック的な衣装も怖いのだけど、なんといっても連中が電気をカットしてくるという発想がよい。パッと暗くなると、ああ来たなと思わせる。映画はこうでなくちゃね。
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