ちろる

我は神なりのちろるのレビュー・感想・評価

我は神なり(2013年製作の映画)
3.9
「新感染」は楽しかったのに「ソウルステーションパンデミック」は全然楽しめなかったヨン サンホ監督による初期の怪作。
始終ぞわぞわさせられて、カテゴリーは「哭声」みたいな後に引くタイプのアニメーション。
ダムに沈みゆく村の村人たちの見舞金を搾取しようとキリスト教を謳った怪しい団体が信仰を餌に村人たちに近づく。
騙す方詐欺師たちの胡散臭さ、騙される村人たちの無知さ、利用される神父の闇、誰もが皆人として生きるには足りないという遣る瀬無さ。
騙されるかわいそうな村人たちの病的な信仰心にも全く同情できずそのエモーショナルすぎる描写はまるで北朝◯の将軍様マンセイのシーンを見る時ぐらい見苦しい。(故に面白い)

人が人を容易に利用できるおぞましさ。
肉親よりも赤の他人に頼る現代の人間関係の希薄さ。
倫理感より自分を庇ってしまう弱さ。

DVクソ親父だけが村で起きてる出来事に違和感を感じてたのにオオカミ少年みたいに誰にも信じてもらえないエピソードはもう自業自得だしね。

世の中から遮断されたような閉塞感のある貧しい村の中でひたすら人間の容赦ない醜悪さのインパクトは大。
救いのないドロドロの世界に興味がある方は是非。
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