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僕の世界の中心はのkazataのレビュー・感想・評価

僕の世界の中心は(2016年製作の映画)
3.0
先日見た『僕と世界の方程式』と似たタイトル(というのは偶々)で、『ヒトラーの忘れもの』のルイス・ホフマンくんの出演作である本作をウォッチ。

なんだろ…全然ドイツ映画っぽくない感じ(笑)
論理的にではなくて感覚重視でシーンを積み重ねて描いているような気がして……だとしたらエモさが圧倒的に足りないと思うし、各シーンのルックは良さげ&各キャラも面白そうな割には盛り上がりがイマイチと言うか、それぞれのテーマの描き方がチープと言うか、、、全体的にもったいない印象。

例えば、主人公が幼少期に失くしたスノードーム(全く同じ物じゃなくていいんだけど…)を彼のキャビンで見つける展開が当然あると期待するもそんなことは無く……彼の世界の中に"自分がすでにいたんだ"って舞い上がってこそ裏切り展開炸裂!とかの方が絶対に盛り上がると思うんですが。
(この後で出てくるスノードームかぶせ展開が現状だと全く効果的じゃないでしょ…まぁあのキャビン自体がスノードーム内の家として描いているのかもしれないけども……だったら雪降らせなきゃ!!)
(双子ちゃんのダーク展開の方も単に説明的で全然面白くないし…)
(セクシュアルマイノリティが物語上で全く影響無く描かれているのは良かったかな…)


(以下、便乗レビュー↓)


『ヒトラーの忘れもの』と同時期のルイスくん出演作をちょっと前に海外DVD購入で見ていたんで(案の定Filmarks未掲載だし…)ここにレビュー。

『Freistatt』(104分/2015)
Marc Brummund監督のドイツ映画。

自由を愛するルイス少年が暴力的な継父と上手くいかずにキリスト教系の寄宿学校に入れられちゃうんだけども、そこは重労働&虐待がまかり通る理不尽で不自由な世界で……という実話ベースの寄宿学校+監獄モノ系"coming of age"映画。

親から捨てられた子達の友情物語と、(ドイツ映画だからこその説得力な)権威主義的思想への反抗と、暴力の連鎖という恐怖&空虚さと、親に捨てられた子が親を捨てる物語が描かれていて……ドイツ版『大人は判ってくれない』と言っちゃっていいでしょう!

いろいろと辛いことを経験しながら子どもから大人になっていく過程を、例えば"生き埋めになって蘇る"といった具体的な描写(キリスト教的な復活の意味もあるでしょう…)によって描いたり、性の目覚めをフロイトのエディプスコンプレックスを可視化して見せたりと、論理的にシーンを積み重ねて描いているから「そうそう、ドイツ映画はこうでなきゃ!」と感じられるとっても良い映画でした!


ルイスくんはチャラついた役どころを演じるよりも、泥まみれになっている方が似合っていると結論づけ(笑)
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