思っていたより面白かった。土屋太鳳を見直した。こんなにしっかりと演技ができる人だったとは。劇中劇で披露されるダンスも迫力満点で素晴らしい。
ストーリーは設定から予想される範疇を超えないが、設定を十分に活かしてシンプルに描ききった感があるのでこれはこれで悪くない。登場人物やエピソードを最低限に絞り、主人公の劣等感と狂気にフォーカスしていく作りは中々上手いこといっていたと思う。
特に終盤、演劇「サロメ」に主人公が自分を投影していく様が圧巻。ちょっとクドめの演出ではあるが、設定が舞台演劇なので上手いことこのクドさを中和してくれていたと思う。
芳根京子は今回演技面でちょっと土屋太鳳には劣る（わざとか？）が、それがこの作品にぴったりなのでむしろ正しい。ただ美醜がテーマなのだからさすがに傷跡がすごいとはいえ芳根京子では綺麗すぎるよなぁ。映画としてのリアリティより集客をとった結果なのだろうが、本当に美人でない女優にやらせていればもっと恐ろしい物語に仕上がっただろうに。浅野忠信はさすがの存在感があって良かった。関ジャニ横山裕はかなり微妙。黙っていればギリギリだが、喋りだすと棒読みがキツイ。それほど出番も多くないのにノイズに感じてしまった。
ここまで描いたのなら、最後は何か独自の結末をつけてほしかったと思う。これじゃまんまブラックスワンだし、でもこちらは主人公が二人なのでこの終わり方ではただただ消化不良感が残ってしまう。結局今後どうなっていくのか、という点を一切見せないこのやり方は、逃げにしか見えなかった。最後のサロメの一連のシーンが良かっただけに、とにかくラストが非常に残念だった。
