つむ

桜桃の味のつむのレビュー・感想・評価

桜桃の味(1997年製作の映画)
4.0
アッバス・キアロスタミ監督作品を鑑賞したのは初めて。

きっと男は始めから誰かに止めて欲しかったんじゃないかな。
クルド人の兵士とアフガニスタン出身の神学生にはあんなに矢継ぎ早に質問してたのに、老人と出会ってから(出会いの描写はなかったけど)ずっと黙って老人の話を聞いていた。その間のほとんどがロングショットで荒涼とした山道を車が街へと下っていく画なのだけれど、男の心情がゆっくりと変化していくのが分かる。「少し遠回りだが道がいいし景色もきれいだ」と老人は言うけど、後に「悪かったね、こんな砂利道を走らせて」とも言う。時間を稼いで男を説得しようとしたのかな。とにかく男を死なせたくない老人の優しさを感じた。
とても静かな映画ではあるけど、心に沁みる言葉がたくさんあったな~って思ってたら衝撃のラスト!
正直なところ解釈に困った。
調べたらキアロスタミ監督は、映画の登場人物に感情移入しすぎるのはよくないという考えを持っているそうで。
なるほどね~。
つむ

つむ