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桜桃の味のrのネタバレレビュー・内容・結末

桜桃の味(1997年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

車窓から覗ける橙に染まった気色は暖かく、始終聞こえる小鳥の囀りと風のそよぐ音が心地良い。正しく、映画にしかできない表現。
指で体のあちこちを触ると、どこも痛く感じる。それは身体が悪いのではなくて、指が折れているから。
要は老人の言っていた通り、幸せな目で世界を見れば、幸せな世界が見えるということ。老人の話を聞いた後のバティの見る世界は、物乞いをする貧しい人々でなく、若いカップルや運動に励む子どもたち。結末は投げやりにも思えるが、希死念慮の薄れゆくバティのその後を描くのは却って無粋とも思えるし、『桜桃の味』というフィクションと、本作を観る観客のいる現実が地続きであると示すために必然だと思った。
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