TAK44マグナム

危険なゲームのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

危険なゲーム(2016年製作の映画)
3.0
これは、やり過ぎ!


「仮面ライダー555パラダイスロスト」に登場する空飛ぶ仮面ライダー、サイガ。そんなサイガの変身前を演じていたピーター・ホーが謎多きマッチョマン役で出演しているデスゲーム系シチュエーション・ホラー映画。

とあるラブラブカップルが船上で開催される宝探しゲームに参加します。
参加者はカップルを含めて6名。
しかし、それは脱落者には死をプレゼントする恐怖と戦慄のデスゲームだったのです。

これはよくあるタイプの映画ですね〜。
なんとなく邦画でも似たのがたくさんつくられていますよね。
登場人物が理不尽なゲームやらされて、どんどん死んでゆくやつ。
まぁ、流行の発信地は日本ですけれどね。
所謂ひとつの「バトルロワイヤル」タイプ。

でも、本作はゲーム感があるのは最初のぐるぐる回ってバキューン!っていうロシアンルーレットゲームぐらいで、あとは船内を迷っているうちに罠にハマって死んじゃうって具合。
燃やされたり、凍らされたり、はたまた回転ノコギリがどこからかビュンビュン飛んできたり。
何故か何の繋がりもない参加者が殺されてゆくわけですけれど、この殺人劇にもちゃんと黒幕がいて理由があるのです。

で、そのネタが中盤にはピンとくるというか、「たぶんあいつが黒幕で、目的はアレなんだろうなあ」と思ったら寸分違わずその通りだったので種明かしで完全にコケましたね(苦笑)。
冒頭からしっかり観ていれば誰でも分かるだろうし、そういった点ではかなりの失敗作のような気がします。
ただ、諸々のトリックについては、カップルが食事しているときに唐突に絡んでくる「ある人物」がちゃんとヒントになっているので、そこは正々堂々としていて好感がもてましたね。

しかし!
終盤の展開は明らかにやり過ぎ!
救命ボートの件も下手したら大変な事になっていたかもしれないし、それ以上に「お宝」をゲットした後の○○○破壊は必要ないでしょう。それこそ想定外のヤバいアクシデントが起きてもおかしくないし、そもそも目的をすでに果たした後なので意味がまったくありません。
はっきり言ってアホか!と思いましたよ。

それにしても、こんな大袈裟な罠なんて要らんでしょ(苦笑)。
これならもっと悪意に満ちた話にすべき。
以前にも何かのレビューで書いたのですが、カルトホラー漫画家の関よしみ先生の傑作「愛の墓標」を見習え!と言いたい。
「愛の墓標」が元ネタと言われてもおかしくないぐらい、基本となるアイデアが似通っているので余計にそう思いましたよ。
「愛の墓標」は、カップルが賞金目当てにゲームに参加すると、それは本当の愛があるのか知るために開かれた残虐なデスゲームだったというもので、女の子は片腕を失い、サッカー部の彼氏は両足を潰されてしまいます。それでもかばいあい優勝するのですが・・・という、どんよりしたければこれを読め!と自信をもってオススメできるホラー漫画です。
いっそのこと、「愛の墓標」を実写映画化して欲しい!
本作のような甘ったるいスイーツの様なホラーもどきではなく、徹底的にヒドイことしか起きない、心をズタズタに引き裂いてくれる映画に仕上げてもらいたいものです。

最大級にダメなのは、実はすべて○○○でした〜!という、「エイプリルフール」じゃねえか!と血気盛んな方なら憤慨しかねない、その一点。ホラーでやっちゃいけない愚策のひとつですよ。
というか、燃えちゃったオッサンのペットボトル飲むシーン、それ見せなくてもいいんちゃう?
ミスリードのつもりだったのかな(汗)?

ただ、それでもですね、こんなんでも邦画のB級デスゲーム映画よりかは幾分か出来が良いのが悔しいというか何というか。
不穏な雰囲気はちゃんと出ているだけに、無理のある脚本をなおして出直してきて欲しい一作。


NETFLIXにて