しょうた

寝ても覚めてものしょうたのレビュー・感想・評価

寝ても覚めても(2018年製作の映画)
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夜遅く映画館を出て家に帰りそのまま寝る。朝起きて風呂に入り、湯船につかりながら朦朧とした頭で昨夜の映画を思い出す。ばらばらだったシーンが繋ぎ合わされ意味として浮かび上がって来る。ひとつの映画体験はこんな風に続いていく。
透明感のある美しい映像に引き込まれて見ていた。物語られるのは、人生の一瞬先はわからないということ、人生そのものの持つサスペンス。それは、雨が降って来たから朝子が非常階段の踊り場の亮平に気づくといった小さな偶然から、突然の大地震で日常が立ちきられるといった出来事まで(原作が出たのは震災の前年、監督は被災地のドキュメンタリーを製作してきた経緯がある)。物語の発端となる朝子と麦の出会いも、あの時子どもたちの爆竹が鳴らなければなかったわけだし。
朝子の行動に亮平は傷つく。だがこの出来事で朝子の心ははっきりと麦に別れを告げ、亮平を選び直すことができたとも言える。亮平の繊細さ(心のうぶ毛)を朝子は愛したのではないか。傷つけ合うことを恐れずにひたむきに人を愛する人々が羨ましかった。
(追記)
ALS患者を登場させた意味は何か?人生は次の瞬間何が起こるかわからないという一例でもあるが、人と人とのコミュニケーションの深みを示唆しているようにも思った。牛腸茂雄の写真を登場させたことも。
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