Solaris8

望郷のSolaris8のレビュー・感想・評価

望郷(2017年製作の映画)
4.0
10/1 新宿武蔵野館で望郷を観た。瀬戸内の小さな島で産まれた二人の幼なじみの、それぞれの親子の物語で「夢の国」では姑に縛られた母と娘の確執からの絆の再生を描き、「光の航路」では、船の進水式をきっかけに確執が生まれた父の本当の意志を辿り、その意志を息子が受け継ぐ。

二人の幼なじみは小学生の時に別々の思いで白綱山の五百羅漢に十字架を探しに来ていたのだが、大人になってから、同じ想いで、再び白綱山から瀬戸内の海を眺める事になる。海に囲まれた小さな島の別々の家族の物語を白綱山が紡ぐが、二つの物語は、一つの物語として平仄が取れている。

船の進水式で青空の下、沢山の人に見守られて、勢い良く海に船出するシーンと白綱山から見る瀬戸内海の海と山が印象に残った。

自分は登山が趣味だが、故郷の富山は海の傍に山が在り、山に登ると、必ず海や能登半島が何処にあるかを探す。故郷の山から遠くの海を眺めていると過去の想い出が甦る事があるが、望郷とは、時間を遡って、自分と向き合う事なのかもしれない。

父の恩は山より高く、母の恩は海より深いと云うが子供の事を見守っていない親は居ない。その事に気付いて、思いを寄せて向き合えるようになるには、二人の主人公の様な年齢になるまで、少々、時間が必要なのだと思う。
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