幕のリア

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法の幕のリアのレビュー・感想・評価

4.4
フロリダの陽光が地獄にベールをかけてしまう。

オープニング曲は、
Kool & The Gang『Celebration』。
アイロニカルでポップな選曲。

子供達には、最低限の衣食住があり、家族の愛があり、暴力さえ無ければ、どんな場所であっても、
環境の良し悪しなぞ分からない。

なんでもない日常と、観る者には全くもって非日常な無自覚の品の無さと犯罪まがい。
映し出されるのは最早フィクションだ。
画面の内と外では断崖絶壁ほどの隔たりがある。
そして断崖の更に下が垣間見え出す。

雇われ管理人のデフォーは、その境界のウォッチマンだ。
職務とモラルを最低限やり繰りして、安モーテルなんて異質な空間を安全な場所に保とうとする。
その良心が何もこの場に作用することは無いのが痛々しい。
何かしてやれそうで何もできない。
観る者の視線を担う。

窮地に陥ったムーニーちゃんを見つめる親友の一途な視線と真っ直ぐな行動に感情が猛烈に乱される。
その先にあるのは時間限定の夢の城だと薄っすら気づいているのにもかかわらず。

〜〜ー


来春のワードローブの差し色に、ラベンダーピンク〜パープルを取り入れてみたいと呑気な事も考えてしまうほど、映像のカラーリングも見事。
幕のリア

幕のリア