マカ坊

ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリスのマカ坊のレビュー・感想・評価

4.4
数年前にふと思い立って図書館司書の資格を取った。

仕事にできればよかったけど給料は驚くほど安いしそもそも求人もほとんどないので結局なにも活かせてはおらず、無い頭で自分なりに頑張って勉強した内容もどんどん忘れていっているのだが、図書館史の添削レポートに書かれていた内容だけはよく覚えている。

「図書館は国家を写す鏡。図書館を見ればその国の民主主義の程度が分かる。司書を目指す者はこれを忘れてはならない。」

当時は「ほーん、なるほど。」ぐらいにしか思っていなかったけど、この作品をみてようやく得心がいった。こういうことか。

黙って本を読んでいるところや、ずらりと並んだ棚の背表紙をこれ見よがしに写すシーン等ほぼない。

参加可能な文化イベントやワークショップの映像と、参加不可能な図書館側の会議。連続して交互にこれらを見ているだけなのに、図書館という「公共施設」が持つ可能性の偉大さに胸が震える。

個人的にはエルヴィス・コステロの親父さんの映像と、サッチャーへの言及シーンや、タナハシ・コーツのトーク、黒人の歴史に関する教科書の記述についてのやり取りなどを特に興味深く見た。

「金をどこにどれだけ使うか」というのが政治の本質である以上、官民協働であるニューヨーク公共図書館における会議も当然ながら政治的。


いやほんと「公共」って大事。図書館大事。
図書館に行こう。



-見る人がいるかはわからないけど最後に日本の図書館司書が受けた問い合わせとその回答をまとめた「レファレンス協働データベース」のリンクを貼っておきます。これがまた面白い。

「刑事ドラマでは『取り調べといえば、かつ丼』という設定は、いつ、どのような経緯で始まったのか?」

「かつおのたたきは、なぜ皮を焼くのか?」

なんでも調べてくれる図書館。最高。

https://crd.ndl.go.jp/reference/
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