ゆみモン

栞のゆみモンのネタバレレビュー・内容・結末

(2017年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

決して派手さはないが、深く考えさせられるテーマを扱っている。

三浦貴大は、悩みながら成長していく理学療法士を自然に演じていた。この人は、品の良さや育ちの良さが隠しきれない感じがする。今は無理をして役柄の幅を広げようとせず、自然体で演じられる役をやっていった方がいいのでは?と思った。父親の三浦友和も、あんなに優等生的な二枚目なのに、中年になって強面のヤクザも不自然ではなくなったのだから。

下半身不随になった元ラグビー選手を演じた、阿部進之介の熱演に感動した。退院前夜、車椅子を下りて腕の力だけで屋上へ這って向かうシーン……まさか飛び降りるのでは?と思いながらハラハラドキドキしながら見ていたら、予想が当たってしまった…。最期の最期のためらいの表情や咆哮が良かった。自分の力で自分の人生を終わらせるために、必死に上半身を鍛えていたのだとしたら切な過ぎる。

理学療法士としての問題に、末期癌の父親の延命治療の問題が絡んでくる。

一度は退職届を出した雅哉だったが、最後の講演のシーンで、再び理学療法士として向き合って歩き出したことがわかる。できれば、父親の問題がどうなったかも知りたかったが、描き過ぎない方がいいのかもしれない。