pika

スリー・ビルボードのpikaのレビュー・感想・評価

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
3.5
脚本がめちゃくちゃ面白いし名優たちが名演しまくってて見応えアリまくりで内容やテーマは突出して素晴らしいのに演出がイマイチ惜しい!
これはこれとして好きな人はたくさんいるだろうし全体的に魅力は多いが個人的には勿体無さが強い。。。

やや群像劇チックな構成で様々な人がいて一つの大きなキッカケで人々が交錯し変化していくというような劇映画で、人物関係や展開も綺麗に交通整理されてるし枝葉がそれぞれ興味深く、掘り下げきらずともひとつひとつに重厚な奥行きがあって考えさせられる。
終わり方がとても良かったし、人物同士の絡みも中途半端にカットして最後まで描かない=結果を見せないところや、善悪を示唆せず「問いかけ」を軸にドラマを動かしているところもとても良い。

ただ、それら魅力を引き立てるために敢えてなのであろうけど、演出自体も散文的になっていて、クスッと笑えるところやシリアスにグッと引き込むところなど様々な抑揚を付けているのだけれども、それが好じているとは言い難く、逆にバラけてしまった印象が。
風景映して扇情的な音楽を流すショットが何度もあったり余韻を演出してるんだろうけど冗長的に感じられてしまったり、中盤ちょいとダレる。
やりたいことはわかるし、意図を提示させないところに魅力があるのは伝わるんだけど単純に飽きてしまうところもあり、脚本や演技など魅力が多い分目立ってしまってちょいと勿体無い。

撮影や編集などの演出をせずとも表情を映してるだけで十二分に伝わるフランシス・マクドーマンドの演技が凄い。
助演男優賞にノミネートされた二人は演技のしがいがある役の美味しさもあるけどサム・ロックウェルが圧巻。
pika

pika