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スリー・ビルボードのまるまるのネタバレレビュー・内容・結末

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

その昔、デンジャラスKこと川田利明(プロレスラー)が三沢光晴(プロレスラー)との大一番を控えての一言「敵は己の中にあり」
なんとも川田らしいストイックな言葉じゃないかとホレボレした憶えがありますがw
この言葉には、取りようによっては二つの意味があるなぁと。
一つは、敵=自分の中の怯懦・慢心・怠惰な心を指す意味と、
もう一つは、人ってしばしば「憎し」と思う相手に「敵」というレッテルを貼って、実像とか割と関係なく、憶測とか虚像でもって強固な敵像・憎悪を作り上げていくというか、拗らせていくものだよねっていう人の性質を指した意味。
言い方を変えると「その敵は己の中にしかいない」
川田の場合は、その両方に当て嵌まってるんじゃないかと、ますます川田にホレたわけですがw
この映画では「その敵は己の中にしかいない」な人の連鎖を見せつけられた感じ。
「怒りは怒りを来す」
諍いの絶えない世界の縮図のような映画。

本来、いがみ合う必要のない所でいがみ合い、自分たちがバカなことしてるって事に、やっと気が付くまで、この映画まるまる一本分費やした。

ラストで安らぎを得たのは、相手が他ならぬディクソン(サム・ロックウェル)だったって事と、神の御業(監督の御業/手紙・絶たれた希望)があって、初めて到達しえた境地であって、頼みもしないのにホイホイ助けてくれる優しい傍観者ジェームズ(ピーター・ディンクレイジ)では到底無理なんだろうなぁって所に、怒りの連鎖しない世界なんて絶対来ないなって思い知らされた感じ。
何故なら、
人ひとりの荒れた心を宥めるのに、これだけの事は必要だよなって納得してしまったし、僕らジェームズ的、黒人の所長的な第三者には何もできることが無いって、思い知らされたから。

だからこそ、車内でのあの静かなシーンには感動を禁じ得なかったです。


主役のフランシス・マクドーマンド。
どこかで見た人だなぁと思ったら、なんとファーゴの人ですかw
ファーゴでは、どこかノンビリしたライトサイドの守護者みたいな人でしたが、まるで印象が違ってて驚いたw
金的キック!
すごいなぁ、役者さんって。


https://filmaga.filmarks.com/articles/1954/【ネタバレ解説】映画『スリー・ビルボード』ミズーリ州が舞台である意味と差別への怒り
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