ちょめ

スリー・ビルボードのちょめのネタバレレビュー・内容・結末

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

フランシス・マクドーマンド主演
ある田舎町で起きる事件物
ファーゴみたいなもんかくらいの
浅い情報のみで見始めてみれば

人間の本質を突きつけられるような
人の裏側を覗き込むような
そして、自分の人間性を
問われているかのような映画だった

何よりも驚いたのは、その脚本
最後まで展開の読めないまま
そういう終わり方かあ〜っと、
考えさせられ、心を揺り動かされ
見事な終わり方

いやあ見始めたら
いろんな登場人物にやられてしまったね
演技凄まじいわ、、、

物語としては
警察絡めた事件物
サスペンス物のように始まり
途中から、怒りが怒りを生み出す復讐劇へ

この怒りによる
ボタンのかけ違いが本当に悲しい

もちろん気持ちはわからなくは無いよ
母親の怒りも、
尊敬する署長を守ろうとしたのに
自殺してしまい守れなかった怒り
娘の事を忘れようとするも
自分が育てていたらと後悔からの怒りも

でも、ある意味ニュートラルに
物事を見ていた元旦那の恋人が言った
『怒りは怒りを来たす』

意味は、
怒りをぶつけると怒りが返ってくる
って事だと思うんだけど、

そうならない為に、許せるか?
怒りから慈愛へと、変われるか?
自分を見つめ直す事が出来るか?

それがまた、素晴しい見せ方で
伝えてくれるんだよね

署長の自殺を知ってからの
ディクソンが広告屋のレッドの所に
向かうんだけど、ここのワンショットが
緊迫感半端ない

窓から突き落とされ
レッドはまさしくボロボロに

その犯人であるディクソンも、
怒りの連鎖から、大きな火傷を負う

運ばれた病院の同室にウェルビーが!
最初は気がつかずディクソンに
優しくするんだけども、
署長の手紙によって
生まれ変わったディクソンが
謝るんだよねえ〜

で、態度を急変させるウェルビー!
僕ら観客は、あの物凄く酷いシーンを
見ているから、うわあ、、、って
嫌な事を想像するんだけど

あのオレンジジュースですよ
ストローまでね、気にしてあげてさ

ああ、怒りで返すだけでは
人は傷つくだけ、大事なのは謝る事
償う事、許す事なんだ、と

さだまさしの歌みたいね

それからのディクソン
もうね、主人公と言っても
いいんじゃないかな

犯人と思わしき男を見つけた場面で
必死にDNAを、取る為に頑張る姿に
もうディクソン〜凄えよお前!
カッコいいよ!と、泣けてくるんだな

本当にサム・ロックウェル凄いよね
そりゃアカデミーとるわ

もちろん、フランシス・マクドーマンドも
素晴しい、
物凄い強気な女性に見えて
署長が、血を吐いた時や
自殺をニュースで知ったときの
優しさが、悲しさが伝わる演技

女性としての強さと
垣間見れる弱さ、優しさ、、

流石ですね、ユーモア交えつつは
彼女にしか出来ない役だったね

その他、今回のキーマン演じた
署長役のウッディ・ハレルソン

いつもと言ったらあれだけど
真逆くらいの良い人だったから
ビックリしたよ

見ている側の予想を次々裏切っての
最後は二人が許し、分かりあっての
希望感じるエンディング

途中見える3枚の看板は
空も晴れやかで、日もさして
希望に満ち溢れてる

最初のボロボロで、霧立ち込める
いやあな感じはなくなってんだよね

車内の二人もいい!

『警察署燃やしたの私なの』
『あんた以外いないだろ』

このセリフのやり取りやられたなあ〜

これは僕の予想だけども
二人は道々考えて、結果人は殺さない

そう感じれたし、
そう感じれる細かーい演出、
演技の積み重ねだね

ディクソンが、
ウェルビーに殴り込みに行くときも
一度銃持つけどやめてるし
ミルドレッドも、警察署燃やす前に
何度も人がいないか電話するんだよね

もうね、優しさの1面が見えてるの

人には表側だけではわからない面がある
まさに看板と一緒
裏側、見えてない側もあるんだよね

もう素晴らし過ぎて書きたいことが
伝えたいことが溢れてる

なんで、今まで見てなかったのか
後悔するくらいいい映画でした!

演出、脚本、演技
そして撮影、どれも素晴らしかったです!
ちょめ

ちょめ