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八つ墓村のtackyのレビュー・感想・評価

八つ墓村(1996年製作の映画)
3.0
横溝正史は、土着の祟りや呪いなどの、ドロドロした見立て殺人の先駆者と見られがちだが、意外に財産相続や金がらみのドライな犯罪が多く、それらは、それをカモフラージュする為の犯人の手立てに過ぎない。

そして、それを180度逆さまにして、土着ホラーにした、野村芳太郎と橋本忍の前作の金田一映画史上における衝撃は凄まじいので、よく市川崑がこの作品を撮ったと思う。しかも石坂浩二じゃなく、トヨエツで。

なら、いっそ原作通りのドライなトリック作品にしたら良かったのに、そこは職人監督、二者選択殺人や黄金埋蔵金などの、辻褄の合わないものを排除して、観やすい作品にしちゃったので、とても中途半端だった。
肝心の落武者狩り、三十二人殺し、は野村&橋本版に及ぶはずもなく、最後に森美也子が出雲の尼子の出身なんて、付け加えずにいいのに。

それでも、さすが市川崑なので、無駄の無い金田一映画になったけど、他のTV版の「八つ墓村」と一緒で、インパクトにかけるのも、野村&橋本版のせいだ。
違う原作で石坂浩二でやらなかったのが、悔やまれる。

そういえば、浅野忠信と共同脚本で「本陣殺人事件」を撮る予定だったはずだが、いつの間にか消えたなぁ。でも、こちらも高林版が完璧なので、きっと評価されなかったと思う。
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