Hope3000

ガーンジー島の読書会の秘密のHope3000のレビュー・感想・評価

3.8
【撮り溜めたWOWOW映画 VOL.31】

第2次世界大戦時、ナチス・ドイツ占領下にあったガーンジー島。その地で起きた、悲しい出来事を振り返る。

売れないロンドンの女流作家ジュリエット・アシュトンのもとに、かつて古書店に売った本を見つけたと、ある人物から届いた一通の手紙。手紙の送り主ドーシー・アダムズと文通をする中で、島の “The Guernsey Literary and Potato Peel Pie Society” という読書会に関心を持ったジュリエットは、記事を書くため読書会の人々を訪ねることに。彼女はドーシー、アメリア、エベン、アイソラ、イーライ、キットと読書会で心を通わせていくが、そこには読書会の創設者エリザベスの姿はなかった。記事執筆の話にメンバーの表情が暗くなり、アメリアは頑なに拒否。エリザベスがなぜ島にいないのか、気になるジュリエット。だが、彼らには他人に語りたくない秘密と苦悩があった…。

戦争によって失われたものと得られたもの
子供たちの集団疎開
ナチスによる食料強奪と生活の統制
ドイツ軍兵士との結婚
生まれた少女と読書会メンバーとの“家族”関係
ドイツ軍への必死な抵抗
女流作家誕生の背景にある「男尊女卑」思想

戦争はかくして人の命を奪い、人の心に深い傷を負わせる。この痛みは経験した者にしか理解できない。けれど、人々にとって真に必要なものは同情や憐みではなく、傾聴・共感・理解しようとする姿勢、対等の立場であろうとする心持ち。心を尽くすことは、手を取り、痛みを分かち合い、そばにいてあげること。

苦しい状況でも、本が希望を繋ぎ止めてくれる―。本は心を豊かにし、人々を癒し、仲間を作り、“家族”のような温かい絆と居場所を生む。
本の力は素晴らしい。改めて、読書の魅力に気付かされます😌

ガーンジー島は、実際にイギリス海峡にあるチャンネル諸島の中の1つの島とのこと。本作を観るまで島の存在を知りませんでした💧それに、イギリス領のこの島がナチス・ドイツに占領されたということも…。エリザベスも、ドイツ軍に抗議した実在の女性をモデルにして描かれているそうです。実話ではないですが、ストーリーが印象深かったです。

ちなみにこのガーンジー島は、詩人ヴィクトル・ユゴーが亡命した地でもあり、かの有名な『レ・ミゼラブル』もここで執筆されたそうです。
素晴らしい文学が生まれる地。美しい場所に行くと、心に良い刺激を受けて想像が膨らみそうですね!😊

一連の謎が明らかになった時、息を呑む。
そして、映画の結末に、吐息をつく。

邦題・洋題共に意味深なタイトルに、一見するだけでは内容が分かりづらいですが、鑑賞の価値は十分にあります。簡潔に言えば、映画のテーマは【戦争・ヒューマンドラマ・ラブロマンス】です。
景色と物語の美しさに目と心を奪われました。

『炎のゴブレット』も担当したマイク・ニューウェル監督に拍手👏


最後に…
『シンデレラ』や『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー』などで知られるリリー・ジェームズ、笑顔が素敵。
グレン・パウエル、『トップ・ガン』のハングマンじゃん!カッコイイ~!軍服もパーティー用スーツも良き👍



“Our Friday night book club became a refuge to us. A private freedom to feel the world growing darker all around you, but you only need a candle to see new worlds unfold. That is what we found in our society.”
「読書会は僕らの避難所でした 闇の世界で手に入れた精神の自由 新しい世界を照らすキャンドル それが読書でした」

“…it was Elizabeth who realized our true starvation for connection, the company of other people, for fellowship.”
「彼女は分かっていた 僕らが食べ物以上に欲しているのは 人との繋がりや語らい、友情だと」




※【撮り溜めたWOWOW映画】シリーズはここで終了です。ここまでお付き合いいただいた皆さん、ありがとうございました!
Hope3000

Hope3000