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ワンダーウーマン 1984のpikaのレビュー・感想・評価

ワンダーウーマン 1984(2020年製作の映画)
3.0
個人的には刺さらなかった。終始冷静な状態で、これから来る!これから面白くなる!と身構えてたら終わってしまった。
良いところたくさんあったし普通に面白いし基準値ってものがあるならば超えてるレベルによく出来てて長さの割にそれを感じることなく夢中になりつつ疲れ切らないちょうどよい映画であったのだが、良いところを挙げると語尾に「…でも」とついて不満が襲ってくる。DC好きだし前作好きだし期待していただけにショックで凹んだ。「アクアマン」でも感じたように価値観のアップデートができない老害になってしまったのだろうかと。

映画の中で最も重要且つ盛り上がり、涙を誘い、ダイアナにとって最大の山場なるシーンでどうしても「マイケル・ベイかよ、パールハーバーかよ」みたいなツッコミが脳内に流れてきてもう。。。何であんなにドアップなんだよ。。良いシーンだったのに。そこ以外にもアップが多く、スクリーンから溢れるくらいのアップだと撮影されてることを思い出してしまって集中が途切れる。スマホ映画鑑賞の弊害?
感情描写が型にハマったような演出で、流れと台詞でわかるだろ?みたいな、演出で響かせるんじゃなくて観客が拾って理解してくれることに委ねている感じがした。空を飛んでいるシーン、スティーブの台詞を思い出して云々ってところで長めに映しているんだけど、こっちがそう考えないとただ飛んでるシーンが延々と映ってるだけにしか見えず、見てて気まずくなってしまったり。

なんで1984なのだろう、ソ連崩壊寸前の冷戦当時のアメリカのムードを利用して、直接的には描けない現代を投影したとか?と考えてもあまり機能していないように思えるし、懐かし復刻!過去の作品へのオマージュ!としても氾濫し過ぎててもうお腹いっぱいだし、やっぱトランプ就任で売れまくって増刷されたというからには読んでる人が増えたであろうジョージ・オーウェルの「1984」にかかってるのかな?と思って比較して考えても繋がりは感じられないし、謎。
そもそもそういう要素は二の次であって、それが魅力であればなおのこと良いという部分なだけだし、って考えても魅力らしい魅力がない。何もかもが無難。
ラストのバトルも空から海から様々な空間で凝って見せているようでいてアクション自体は代わり映えしてないし、スカッとする気持ち良さがない。
オチもいい話のようでいてファンタジー過ぎる。アメコミだし子供に夢を与える映画なのかもしれないが、逆に現実の地獄みがさらに強調された後味が残った。

よく出来てて普通に楽しめるので完全に好みの問題なんだろう。何を求めているのかで分かれる。
ザックの影響下にあった前作とは打って変わり、世界観は逸脱しない程度に脱ザックしてたように感じたので、そこが刺さらなかった最大の要因だったのかもしれない。
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