kkkのk太郎

ワンダーウーマン 1984のkkkのk太郎のネタバレレビュー・内容・結末

ワンダーウーマン 1984(2020年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

スーパーヒーローが一堂に会するアメコミアクション映画「DCEU」シリーズの第9作にして、アマゾン族の王女ダイアナの活躍を描く『ワンダーウーマン』シリーズの第2作。

舞台となるのは前作の戦いから70年近くが経過した、1984年のワシントンD.C。「願いを一つだけ叶えてくれる」という不思議な鉱石が引き起こす大騒動に、ダイアナが立ち向かう…。

○キャスト
ダイアナ・プリンス/ワンダーウーマン…ガル・ガドット(兼製作)。
スティーブ・トレバー…クリス・パイン。

石油王を夢見る男、マックス・ロードを演じるのは『キングスマン:ゴールデン・サークル』『イコライザー2』のペドロ・パスカル。

製作に名を連ねるのはザック・スナイダー。

音楽は、DCEUシリーズ第2作『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016)以来となるハンス・ジマーが務める。

『マン・オブ・スティール』(2013)、『バットマン vs スーパーマン』、『スーサイド・スクワッド』(2016)と、三者三振と言わざるを得ないショボショボ具合だったDCEU。その危機を救ったのがシリーズ第4作となる『ワンダーウーマン』(2017)!興行的にも批評的にも大成功を収めたこの作品が無ければ、もっと早い段階でこのユニバースは消滅していたかもしれません。

好感の持てるキャラクターと明快なアクション、そしてビターなストーリーが三位一体となって映画を盛り上げた前作。その続編となる本作では、キャラクターはより魅力的に、アクションはより派手に、ストーリーはより儚いものとなっている。
色々と過剰に盛り込みすぎているせいで明らかにバランスがぶっ壊れているし、後半に進むに従って物語はどんどんしっちゃかめっちゃかになっていく。
しかし、この過剰なサービス精神というか、みんなで汗だくになりながらなんとか映画をまとめ上げました感が非常に好ましく、上手く出来ているとは言えないものの決して嫌いになれない…というかかなり好きな映画になってしまった😊

タイトルにもあるように、舞台はレーガノミクスによる好景気にアメリカが湧いた1984年。1984年と言われれば、どうしたってジョージ・オーウェルの書いたディストピア小説「1984年」(1949)を連想してしまうが、内容は正直そんなに関係ない。メディアで人々を支配しようとするところが唯一の相似点か?
別にオーウェルの物語をヒーローものとして描きなおそうとした訳ではなく、ただ単に1984年というバブリーな時代感を映し出してみたかったということなんだろう多分。

リチャード・ドナー版『スーパーマン』(1978〜1987)やティム・バートン版『バットマン』(1989〜1992)など、懐かしスーパーヒーロー映画のエッセンスを多分に取り入れ制作されており、この過剰な80's感が心地よい。石が願いを叶える際、ブワーッと風が舞うあの演出が当時のジャリ映画っぽくて良いっ♪😆
冒頭、ワンダーウーマンの大立ち回りがスーパーマーケットの店内で行われるというのも、『コマンドー』(1985)や『ポリス・ストーリー 香港国際警察』(1985)を彷彿とさせる展開でとっても懐かしい気持ちになりました。こういう勘所をしっかりと押さえてきてくれるのは映画ファンとして素直に嬉しい✨

何より、キャラクターのコスチュームがバカっぽく、それでいて演じている側は大真面目なのが最高っ!!
『シャザム!』(2019)なんかにも原作準拠のバカっぽさはあったが、あれはその馬鹿馬鹿しさをコメディに落とし込んでいた。それはそれで良いんだけど、本作はアメコミのバカっぽさを「どうだぁっ!!」と観客にぶちかましてくれる。その臆面のなさには平身低頭するしかない。
あのワンダーウーマン・ゴールドアーマーver.なんて、完璧に黄金聖闘士じゃねぇかっ!!敵役のチーターなんて、完璧に岩井志麻子じゃねぇか!!黄金聖闘士vs岩井志麻子…うーん濃厚なカオス。
馬鹿げたことをカッコ良いものとして、真っ向から描く。この辺りも一昔前の王道スーパーヒーロー映画っぽくて、とっても好感が持てますよね😊

王道ヒーローものでありながら、スーパーヴィランが存在していないというのは意外と新しいのかも。純粋な悪役を設定せず、人間の心の弱さこそが敵なんだと描いているという点に、新たなヒーロー映画を築き上げようという気概を感じる。
クライマックスも、武力により敵を倒すのではなく、一人ひとりの心に語りかけることにより事態を終息させるという展開が非常に優しく、力だけではないヒーローの本当の強さを見せていただけた。捻りながらも直球ど真ん中!見事!!

なんのかんの言っても、やはりこの映画の見どころはダイアナとスティーブ、70年ぶりの再会。このエモーションに尽きる。
2度と無いと思っていた奇跡の逢瀬。ここで描かれる多幸感と、やがて訪れる別れの予感が胸を締め付ける。80年代のカルチャーに大はしゃぎするスティーブとそれを微笑ましく見守るダイアナが可愛らしく、もうこの時間が永遠に続けば良いとこちらも思ってしまう。『ダイアナ&スティーブ』という、2人が色々な時代でイチャイチャするだけのTVシリーズがあれば俺は観るぞ!!
あの別れのシーンも良い…。メソメソ泣きながらも、一切彼の方を振り返らないダイアナのいじらしさと逞しさが…😭悲恋はスーパーヒーローの性ですが、この映画での別れシーンは全ヒーロー映画の中でもNo.1。花丸あげちゃいます💮

前述したように、終盤に向かってどんどん物語がごちゃごちゃしてきちゃうのはやはりマイナス。製作陣の愛は伝わってきたが、愛ゆえに色々と描きたくなってしまい、その結果バランスが崩壊してしまったのだろう。
ランタイムが150分台というのも、ヒーロー映画としては長すぎる。冒頭の超人オリンピックとか中東パートとか要るか?あの辺を切れば120分台に収まったんじゃなかろうか。

とまぁ、決して完璧な映画とは思わないものの、結果としてはかなり楽しめました。TVドラマ版『ワンダーウーマン』(1975-1979)でワンダーウーマンを演じていたリンダ・カーターのカメオ出演もキマっていたし、とにかく愛に溢れた一作だったと思います✨

『ワンダーウーマン3』の製作については、今のところかなり不安定な状態ではっきりとしたことは決まっていない模様。ここでこのシリーズが終わってしまうのは勿体無い…。リブートでも続編でもいいから、ワンウーの火は絶やさないで欲しいものです。
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