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私がモーガンと呼んだ男/私が殺したリー・モーガン ジャズ史に刻まれた一夜の悲劇の真実のmsyのレビュー・感想・評価

4.0
リー・モーガン、予備知識は
トランペットの人っていうだけ。
それでよくモダンジャズ好きとか言うなと
自分でも思いますが
でも好きなもんは好きやから劇場へ行った。

トランペットの人で初めて買ったアルバムは
ディジー・ガレスピー。
冒頭に彼のバンドとリー・モーガンのライブ。
それが劇場の音響で聴けて感激する。
スクリーンへは当時の画像が
挿入されるにとどまり
しかしそこへはいモーガンのソロきたきた
若くて張り切ってるでしょ?スゴイでしょ?
みたいな当時のミュージシャンの
回想コメントが乗っかってくるのでこっちも
すんごい胸高鳴ってくる。ほ、ほんまや…
ウチもそう思う…!
このホーム感。
お出迎えが優しい。
ガレスピーが曲がったトランペットを
吹いていたことを初めて知った。
自分が持っていたアルバムのジャケットは
どれも普通のトランペットだったので、
今回勉強になりました。
その曲がった「アップベル」をモーガンも
吹いていた!
勉強なる〜面白い〜

リー・モーガン、手足の長い9頭身
超スタイリッシュ男子やったんですね。
本作で見ることのできるポートレートや映像、
どれもフォトジェニックで
めちゃくちゃオシャレなんです彼。

対して姉さん女房のヘレンは
撮られる事が苦手だったらしく映像が
ほとんどない。
本作のポスターは貴重な二人の写真。

ドラッグに溺れるモーガンを助け
仕事もサポートし
立ち直らせたと思ったら別に女を作られて
しまったヘレンが
モーガンを射殺するある冬の夜。

モーガン側からはミュージシャンの仲間や関係者のインタビュー、
ヘレン側からは晩年に彼女が残した
肉声の音源を証言として
その夜までの出来事を追うシンプルな
ドキュメンタリーで
特にヘレンの語りは淡々としている。
「スラッグス」から
ジャケット一枚で放り出されたから寒くて
コートを取りに戻ったのって。
スゴイ修羅場なのですけどね。淡々と。

遠い昔の喧騒を今更引っ張り出した本作で
後世の私に伝わったこと。それは
ヘレンという女性が
モーガンをいかに支えたか、また
その献身によってしか生み出されなかった
アルバムが確実にある。

驚いたのはヘレンが内縁であったことと
かつての「別の女」が本作で
インタビューに応じているということ、
本作では触れられてませんでしたが
ヘレンの前には日系人のKIKO という
妻がいたこと。KIKO はドラッグ漬けのモーガンから暴力を振るわれる他諸々、諸々があってのち
彼の元を去ったそうですが正式に離婚していなかったそうです。
彼の人生短かすぎるが太すぎる。

私は今日The Procrastinator聴きながら
ダラダラ過ごしたいと思います。
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