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顔たち、ところどころのHacoのレビュー・感想・評価

顔たち、ところどころ(2017年製作の映画)
4.0

『何か貼りたいな』
『何を貼ろうかな』

この言葉に詰まっているJRの好奇心と思いやりに、彼のことを初めて知った時から5年間くらい、ずっと惚れ続けている。



JRとアニエス・ヴァルダの後ろ姿が映る。2人の頭が並んで何かを見つめていて、
視線の先にあるのは、同じもの。
街の壁や家、建物に2人で一緒に貼った大きな写真たち。顔たち。

フランスの村々をめぐる中で出会った人に思いを馳せながら
2人は話し、また次の誰かのところへ。

2人の周りにはおのずと人が集まり、
2人のアイデアに巻き込まれた人たちは
図らずも顔をほころばせている。
そんなふうに、ふわりとした映画。



でもでも、ずっとふわりとなんてさせてくれません。
意表をついてハッとさせるような、映画としての面白さ。これはヴァルダ色かな?
角の生えたヤギさんのカットは、クスクスしちゃいました。


とにかく2人が出会ったことが奇跡みたいに思えて愛おしくて。
冒頭で涙があふれて、私の〝目〟の前のスクリーンまで〝ぼやけて〟しまった。



はじめてJRのアートを見たときから
今の今まで本当に大好きで、
映画も一年前から公開を待ってました。
邦題なんてまだ決まってない“Visages Villages”の時からずっと。

映画的な面白さはここに書きましたが
JRへの愛は止まらないです。

・9/22(土)の和多利浩一さん×岩渕貞哉さんのトークショー参加
・ヴァルダに関しては、『幸福』を観た時に恐れ入った以外の感情が無くなった


#公共アート探究家
JRにとっては、街こそがギャラリー
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