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顔たち、ところどころのditaのレビュー・感想・評価

顔たち、ところどころ(2017年製作の映画)
4.0
@シアターセブン   

ヴァルダ作品を未見なので迷ったけど観てよかった。少し泣いた。いちばんグッときたのは曽祖母?の写真を家の壁に貼るご家族。自分がこれから血を次の世代に残すことはおそらくないので、ああいうのを見ると羨ましさと同時に自分の親不孝さに悲しくなってしまう。

芸術家にとことん疎いのでJRのことも初めて知った。ナイーブで、孤独で、でも人が好きなんだろうなと思った。わたしは自分の顔が大嫌いで写真に撮られることを避け続けているので、あんなに大きく自分の顔がプリントされたらと思うと恐怖でしかないけど、被写体の人はみんな素敵な表情で羨ましかった。いつかわたしもあんなに素敵な一瞬を写真におさめることが出来たら、それを家の壁、否、遺影に…いやなんでもない。

記録も記憶もいつか消えてなくなってしまうけれど、自身と被写体、そして名も無き人たちの生きた証を次世代へ遺すことにはこんなにも意味がある。誰の人生も立派な芸術作品だ。
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