試写会にて。
工場で働き始めた元ジャーナリストの益田は、同僚の鈴木と親交を深めて行く。
しかし、彼が過去に殺人事件を犯した少年Aかもしれないと気づき…？
加害者や加害者遺族の心理をメインに非常に重たいテーマが描かれている。
多角的にそれぞれの心理を描くため、登場人物が多く、細かくカットが変わる前半は鈴木と益田をもっと見たいのになと思ってしまった。しかし、後半になってくると様々な登場人物のそれぞれの背景や事情が幾重にも重なり、見応えのある映画となっている。やや盛り沢山すぎるので、少し削ぎ落としても良かったかもしれない。
それぞれが犯した自分の罪と、他人の罪に真正面から向き合い、生きて行こうとする。
勿論、殺人は絶対に許される事ではない。
しかし、加害者の彼らが出した答えは、どういった側面で見るかにより感じ方が違うかもしれないが、私には救いがあるラストだと感じられた。
もし、自分が、もし、友達が、もし、恋人が、もし、我が子が。
絶対はない。絶対はないからこそ、沢山考えさせられる。
じっくりと観られる興味深い作品だ。
加害者の更生という意味では、「羊の木」と照らし合わせて考えるのもまた一興ではないだろうか。
鈴木を演じた瑛太はとてもハマっていた。少し誇張気味な面もあったが、彼の演技に何度もハッとさせられた。
生田斗真演じる益田、思っていた以上に複雑な役だった。複雑で腹に溜め込んだものがたまに爆発するけど実直で。
2人の組み合わせがとても良かった。
また、演出面もタイトルバックと、エンドを始め、面白い構図が沢山あってとても良かった。
