こしあん

友罪のこしあんのレビュー・感想・評価

友罪(2017年製作の映画)
3.7
とにかく、瑛太の演技がゾッとするほど素晴らしい。
他人をなかなか寄せつけず、人との距離感が独特でコミュニケーションが取りづらく、常に何かを抑えながら生きていて、理屈じゃない不安感を醸し出す人。
もはや演技とは思えない。
この瑛太を見るだけでも価値がある作品。

映画を見ながら、ドラマ『それでも、生きていく』を思い出した。あのドラマで瑛太が演じたのは、子どもの頃、少年Aに妹を殺された被害者家族。
そして、この映画では、元少年A。

こういう影のある役だけでなく、ドラマ『最高の離婚』の理屈っぽくてデリカシーのない男だったり、住友生命1UPのCMの愛すべきダメ男だったり、良い意味で色がなく、どんな人物にもなりきれるところが、本当にスゴイと思う。

実は年末くらいに観たのだけど、なかなかレビューがしづらく……軽いことは言えない内容でした。
罪とは? 本当の償いとは? ずっとずっと考え続けてしまう。加害者、被害者、加害者家族、被害者家族……いろんな立場の視点、それぞれが苦しい。
自分がいつどの立場にもなりえる可能性はあるし、真の意味での“償い”って何なのか、一生考え続けても答えは出ないんだろうなって。でも、考え続けなきゃいけないことなんだろうな。

“罪”と一口に言っても、法で裁けるものと裁けないものがあり、ある意味、刑務所に入って償うことができない罪のほうが、加害者も被害者もツライのかなぁと。


はあぁぁぁ、とにかく重くて苦しい話だった。
生きていくのって大変。人間て大変。


【以下、ネタバレあり】









生田斗真が演じる益田の罪は、想像以上に重かった……。しかも、いわゆる犯罪じゃないからどうにもならないし。
そしてずっと抱えてきたその罪を、自殺した少年の母親が亡くなる直前に告白するという、むごい罪を重ねてしまう……。
あれはアカン……。
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