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タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜のkenのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

ようやく見れた。期待以上の満足度!!
後半サイコっぽくなるかな〜って思ってたけど少し違った。ノンフィクションのがっつり政治的な内容で重い話だった。でも仲間との団結や家族愛が映画の核にあって最後はズーンとくる余韻と少しほっこりする気持ちで終わる。
これはいい映画。2020年のベスト3には確実に入る。

印象的だったのはタクシーが壊れ、キムと会話が絶妙にすれ違うピーターが衝突した後、テスルの家で一緒にご飯を食べるうちに仲直りするシーン。すげえほっこりするし、リアルで作り物とは思えないリアリティがあった。実は可愛いジェシクもいい味だしてたよね。
そこから一転、爆発が起きて、私服警官に追いかけられるシーンは見もの。赤い炎と煙に包まれながらキムたちが追いかけられるシーンは迫力があり、捕まれば死ぬという緊迫感があり、そして何故か炎にゆらゆらと写る画面が美しく見惚れてしまった。ジェシクが英語で自分が死ぬから逃げろというシーンにどれだけ学生運動に命を張っていたかが読み取れる。

理不尽極まりない光州を出て娘に会うことを決心したキムだが道中の捏造ニュースを見てピーターの思いを理解し始め、Uターン。この時の葛藤もすごい伝わる演技。ソンガンホすごいです。あと地味に娘の靴のサイズを1cm単位でしっかり把握してるのすごく好き。父親なら当たり前?娘への愛が伝わってきた。
病院で意気消沈しているピーターを鼓舞してピーターが気力を振り絞り病院内の惨状を撮影するシーンも印象的。カメラワークがうまいと思った。

そして広場で警官による暴動のシーン。トラックで駆けつけた太っちょかっこよかったな〜。もう光州を出るべきと判断して車を走らせるが検問に引っかかってしまう。トランクから北京のナンバープレートが見つかるが、軍人が黙ってくれる。軍部にも軍の行動に疑問を持つものがたくさんいたのだろう。こういう自分の信念をこっそり反映してくれる敵役がすごく自分は好き。

そして最後のカーチェイスは圧巻。テスル達よく間に合ったなというのはあるけど笑
自分を犠牲にしても事実を報道してほしいという強い意志。仲間を信じて夢を託すリレーに泣きそうになった。

キムが娘と再開するシーンもほっこりしたなー。最初より娘の愛嬌ましまし。キムも娘と会えない覚悟はしてたろうから良かった。

最初は金をせびるキムだったけど最後は偽名使ってまで受け取らないのが面白い。他の映画だったら引っかかりそうなんだけどこの映画はどこか納得できる。

調べてみたらこの頃の韓国はまだ民主主義が根付いてなくて、長らく大変な時代だったらしい。この映画を通してそのへんの出来事にも興味を持てた。
ただこの映画はそういう史実を抜きにして純粋に楽しめる映画だと思う。個人的にはパラサイトよりも面白かったしメッセージ性が強かったからアカデミーノミネートくらいはされて良かったと思った。(出来事が少しマイナーだったのかな?)とにかく絶対見てほしい映画!
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