回想シーンでご飯3杯いける

鈴木家の嘘の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

鈴木家の嘘(2018年製作の映画)
4.0
とてもユニークな手法で家族の再生を描いた作品。

ひきこもり状態だった長男の自殺現場で、第一発見者となってしまった母親がショックのあまり気を失い、四十九日に記憶をなくした状態で目覚める。長男が自殺した事を覚えていない母に対して、家族や親戚は、彼はアルゼンチンに旅立ちそこで社会人として成功を掴んだのだと嘘を付く。

長男の成功に喜ぶ母と、長男への愛と恨みが混ざった感情にもがき苦しみながら、母親に嘘がばれないよう取り繕う家族の姿は、時におかしく、時に悲しく、、、、。

笑っていいのか、泣くポイントなのか、観ている自分も戸惑いながら、気が付けば家族の行く末が気になって、作品世界にどんどん引き込まれていく。この引力に一躍買っているのが、岸部一徳、原日出子をはじめとするベテラン俳優の熱演。そして「菊とギロチン」で女力士という非常に難しい役をこなした新人、木竜麻生の生命力溢れる存在感。この子は今後さらに活躍しそうだ。

そして、アイデアに満ちたこの作品が、原作を持たないオリジナル作品っていうのも凄い。