独裁者スターリンが急死してしまった！ので、配下の有力者たちが後継者の椅子をめぐって争う、史実をもとにしたブラックユーモア作品。
何時間も床に突っ伏していて、明らかに重症（あるいは死んでる）スターリンを前に、粛清を恐れて誰も近づけなかったという嘘のような本当の話から幕開け、コメディらしくサービス精神たっぷりに笑わせる描写に満ちている。一方で、後継者候補に適当な「罪」をでっちあげて残虐な方法で殺す、国民全員が平等な社会主義国家につきものの流血沙汰はしっかりと描かれていて、前半はユーモア、後半はブラックという狂気の按配。
スターリンの後継者フルシチョフを演じるスティーブ･ブシェミ。配役の面白さも◎。最近個人的にフルシチョフのドキュメンタリーを見たばかりで、彼は数十年間スターリンの道化を演じ続け、スターリンが死ぬまで、彼のお気に入りのペットとして飼われていたという実話を知ったばかりでした。それを観てなかったら、ブシェミふざけ過ぎでは？と思ってたかもしれない、フルシチョフといえば怒れる海坊主のイメージしかなかったから笑。それくらいはっちゃけていて、それでいて後半の怒涛の残虐劇がより恐ろしい。名作でした。こういう史実に即したブラックコメディもっと見たいな。
