Inagaquilala

モリーズ・ゲームのInagaquilalaのレビュー・感想・評価

モリーズ・ゲーム(2017年製作の映画)
4.1
ジェシカ・チャステインは、いまいちばん好きな女優さんのひとりだ。出世作である「ゼロ・ダーク・サーティ」(2012年)の頃から気になっていたのだが、去年公開されたジョン・マッデン監督の「女神の見えざる手」は、まさに彼女の魅力を十二分に生かした作品だった。強気で頭の切れる政治コンサルタントの役だったのだが、それだけでなく女性としての魅力もいっぱいで、知的なセクシーさを画面いっぱいに振りまいていた。この作品でも、「女神の見えざる手」以上の強気な演技を見せている。

オリンピックを目指すモーグルの選手から転身して、ロサンゼルスとニューヨークで伝説のセレブなポーカールームを運営する「女王」に転身した主人公モリー・ブルームを、ジェシカ・チャステインは見事に演じている。「ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命」(2017年)も悪くはなかったし、このところ彼女の出演する作品は間違いないものばかりだ。

また、この作品の脚本と監督を務めたのはアーロン・ソーキンだが、彼は「ソーシャル・ネットワーク」や「マネー・ボール」、「スフィーヴ・ジョブズ」などの脚本家として、いまハリウッドいちばんの実力を誇る人間だ。今回の作品では、脚本だけでなく、初めて監督も手がけたが、過去と現実をうまく組み合わせながら、人物の深部にまで切り込んだ素晴らしいドラマを演出している。監督としての才能も認めなければいけないだろう。

豪華な舞台装置で描かれるポーカールームのシーンも観るべきもののひとつだろう。ゲームのシーンも過不足なく撮られており、それなりの見所もある。主人公の女性の光と影を見事に演じきっているジェシカ・チャステインのファッションも素晴らしい。まさにスキャンダルの渦中に投げ出された人間なのだが、注意深く人物を深く堀り下げ、通り一遍ではない深みのあるキャラクターとして描写している。好みの作品のひとつだ。
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