タイの娯楽映画と言えば、思い浮かべるのはホラーか軽いノリのラブコメ。だから、ここまでスリリングでシリアスなクライムムービーとメッセージ性の強い社会派を両立した映画になっていることに驚かされた。すごくおもしろい。
まず、画のすばらしさ。なんで定期考査を体育館でやるの？と思っても気にしないで。絵ヅラを優先したのでしょう。図書室で試験やるのも意味不明だし、目が覚めたら見渡す限り建物の見えない廃棄物処分場ってどんなやねん。居並ぶバイクタクシーもカッコええわ…。
そしね、特にすばらしいのは主演女優でしょう。表情の演技には非の打ち所がない。なんで私だけが悪いの？恵まれない私には手段を選ぶことなんてできないのよ、って言葉に出さず眼差しで訴えてくる。説得力がある。
教訓的なエンディングが興味深いというコメントが多いけれど、タイの価値観を踏まえたら納得の締め方だよね。ハリウッドの娯楽作とは一線を画す着地には、グッとくるものがある。
