Avi

バッド・ジーニアス 危険な天才たちのAviのレビュー・感想・評価

3.8
サワディーカップ!
これが初めてのタイ映画!🇹🇭(多分)


多くの他のレビュアーさんが考えるより実はかなり複雑な映画で、今回は割と本気でレビューを書いたので最後まで見て、コメントを頂けるとありがたいです!m(_ _)m


ってことで開幕早々クレジットが読めねぇw



⭐️まずはこの映画を見る前に知ってほしいこと!
・バーツ(タイの通貨)の為替
→この映画では馴染みの薄いバーツで大金が動くのでお手元のスマートフォンで「バーツ 為替」と検索!
・タイの汚職事情
→これが一番の要点。詳しくはレビューの下の方で!


カンニングを主題とし、そこから繰り広げられる駆け引き、大金、友人関係、そして親子関係…

日本人から観て、多少の突っ込みどころもあったが(テスト中に大声、周り見過ぎ、きょどり過ぎ等々…)、カンニングの構想はワクワクしたし、そもそもカンニングという背徳感を背負ってストーリーが進みそこに人間関係や正義感が重なる繊細な描き出しでホラー映画並みに心臓に負担のかかるスリリングな映画。
特に最後の大きな試験での一連のカンニングプロジェクトは目を覆わずには観てられない!😖

また当初は相方となるバンク君は勤勉でクールで一番応援したいキーパーソン、逆にヒロインの父親は物分かりの悪い展開の妨げになる様な存在…
しかし最後の最後でそのイメージが逆転する展開で父の誠実さや親子関係の大切さを感じさせる様な結構驚きの展開…





ここからが本題


そんな感じで何だか少し後味が悪くモヤモヤした結末…
というのも考察を調べてみたところタイ国内では近年教育現場に限らず政治までもが贈収賄が絡んで腐敗しているそう…

(以下: https://gennnya.com/movie-badgenius/より抜粋)
タイはアジア太平洋諸国の贈収賄ランキングでインド、ベトナムに次ぎワースト3位に入った。2015年7月から17年1月までアジア太平洋の16の国と地域の2万1800人に実施した調査報告書で明らかになった。(日経新聞より抜粋)

タイの汚職による経済損失はなんと年間1000億バーツ
汚職などの事件のエキスパートであるSungsidh Piriyarangsan氏によると2018年の汚職による損害賠償額は500億バーツから1,000億バーツにのぼると明らかにした。汚職はバンコクや地方の行政機関レベルや、国家公務員レベルで行われており、その腐敗は国家プロジェクトでも行われているそう。

映画内でも何回か賄賂を匂わせるシーン(授業料とは別の入学費を賄賂と呼ぶなど)がありこれらを踏まえると日本以上の学歴至上主義であるタイで、我々全体主義の日本人には見えない、声なき声で叫びつつも蔓延した腐敗に敗れてしまった誠実な人の事、
やはり声なき声で叫びつつ全体主義の呪いにかけられて心を挫いてしまった人達の事。
それらを大金や人間関係、自分達の人生までをもカンニングという許されざる不正に賭ける姿で風刺し、そして強く改善を訴えているのことこそが私はこの作品の一番の価値だと思った。
Avi

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