ちろる

ポップ・アイのちろるのレビュー・感想・評価

ポップ・アイ(2017年製作の映画)
3.6
かつては有名な建築家だった中年男性タナーが、時代の変化と共に会社の除け者になり、家でも居場所を無くしたところ、幼少期に出会った象と出逢ったことで、一緒に生まれ故郷へ旅をしていくロードムービー。
いつのまにか居場所がなくなって、気がして全てから逃げ出してしまいたい!
そんな時は誰にでも訪れる。
でもそこでどんな行動すれば良いかなんて正解は無いわけで、このタナーにとってはポパイ(と字幕にはあったが実際はポップアイなのかな?)と出会ったことが遠い故郷に帰ろうと思える揮発剤になったのだろう。
これは、社会のあぶれ者たちのリセットムービー。

かつては一世を風靡する建築家であっただろうと、タナー過去を紐解けば本当にあるがままで幸せだった頃は裸で像と戯れていたあの少年時代。
彼のこのとんでもなく長い故郷への旅路は壊れかけた彼の心の治療に絶対に必要なプロセスだったに違いない。

まぁ、とにかくこのポパイが賢くて可愛くてそれだけでも観る価値あります。
そもそもそも象と旅するだなんて東南アジアかアフリカじゃないと作れない。

ご都合主義な訳ではなくたまにビターな描写もあるし、逆にめちゃめちゃほっこりさせられるエピソードにほっこりさせられたりするこちらのロードムービー。
都市は発展途上の時代も終わり、徐々に失われつつある東南アジアらしいノスタルジックな情景が堪能できるのもこちらも作品の魅力でもあります。
淡々としてるがほのかな抑揚もあり、独特な世界観で癒されるので、お仕事で疲れている大人におすすめです。
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