睡蓮

判決、ふたつの希望の睡蓮のレビュー・感想・評価

判決、ふたつの希望(2017年製作の映画)
4.8
法廷劇という以外はほとんど前知識もなく、レバノン映画とも知らずに観たのだけどこれが大当たり!!今年のベスト候補きた!!
この前のウインドリバーでも思ったけど、社会問題を絡めた作品が大好物で、半径1メートルの話よりは自分の知らないことや知らない価値観を映画を通して勉強したいと思う。だからまさにこの作品はうってつけ。さらにここ数年ヘイトスピーカーやレイシストに興味があったところだからまさにまさにタイムリー。
って前置きが長かったけど、要は些細なご近所トラブルが人種間、宗教間の争いに発展していくお話。

ただそういう話は得てして小難しくなってしまって、作品自体が文学的だったり重かったり暗かったりするので正直面白くないこともある。まずレバノン映画だと知ってたらかまえてたと思う。
ところがこの作品のすごいところは、イスラエル、パレスチナ問題を絡めながら、突っ込みどころ満載だけど、内容はしっかりエンターテイメントに作ってあるところ。実際笑ったりはしなかったけど、なんかおかしいというコメディーみたいなシーンはたくさんあった。
それは監督がタランティーノのもとで働いてたことと無関係ではないだろう。
そしてエンタメでありつつも、監督自身の、争いとか戦争に対する考えがしっかり提示されており、またわかりやすいのでそれをこちらも受け取ることができるのだ。それに気付いた時、感動で心が熱くなった。要所要所でやられたーと思った。

どうしても気になったのがレバノンの裁判てあんなに適当なのかな…ってところ。欧米や日本の方式と違いすぎてちょっとついていけないところはあった 笑

でもそれをさしおいても素晴らしい。
2人の主要キャストの表情もまた素晴らしかったな。特にラストは胸あつ。
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