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判決、ふたつの希望のkouのレビュー・感想・評価

判決、ふたつの希望(2017年製作の映画)
4.5
ジアド・ドゥエイリ監督、レバノンで補修作業を行うパレスチナ人のヤーセルと、キリスト教徒のレバノン人トニーの間で起こった諍いが、やがてレバノンへと発展していく。骨太なドラマで、些細な事件が次第に大きく発展してく様が見事。そしてそれは多くの宗教的、人種的な問題に通じているのだ。

多くの怒りが次第に積もり積もって、それが取り返しのつかない所まで爆発していくまで。そしてその問題は当人たちの範囲を超えて意味をもたらしていく。その緊張感、お互いの事情が確かにそれぞれに存在し、複雑にバックグラウンドが絡み合う部分に引き込まれる。

法廷劇がメインでありながら、その行く末がダイナミックで目が離せない。そしてその結末は一個人として、一対一の人間としてどう問題に向き合うかということに収束していく。その結末の見事さ、誠実さが素晴らしかった。
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