いしんじ

ジュリアンのいしんじのレビュー・感想・評価

ジュリアン(2017年製作の映画)
4.5
おもしろかったーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!

冒頭の親権について話すところ。あんな、名前もないおばさんが部屋へ行くまでの間ですらもゆっくりと、リアルの時間に近い時間で見せられる。話しているところもじっくりと見せられ、これがただの導入としての観客への説明ではなく、”目撃しなければいけない部分”であると気付かされる。これは、何人もの人の「人生」を決めてしまう話し合いなのだ。そこへ向かう足取りの重さを、言葉の攻撃性を、覗き込もうとする私たちは知る。

衣裳がまた良いですね。まるで明るく優しい性格を演出しようとしてるかのような、チェックのシャツがいやらしさ全開。

親権がほしいとかじゃなくて、自分が「疎外された存在になること」がひたすらに嫌なのだろうなというのが分かるのがまた怖い。「どこに地雷があるのかが目に見える」怖さがある。分からない怖さじゃなくて、分かるから怖い。明らかに地雷踏んでるのに爆発しない怖さ。

あとはカットの削ぎ落とし方もかなり自分好みだった。ある程度想像が及びそうなところはガッツリカットされる。でもその想像が及ぶっていうのも、容易に想像ができるって訳じゃなくて、ちょっと物足りないくらいで切られる。「うぁ…!見せてくれないんすね…」っていう切られ方が多い。

そしてまた、こうやってカットについて考えていると、冒頭しっかり見せられたことにまた思いを馳せて、やっぱりあの長さは、監督の癖とかではなく明確な意味があるよなと思わされる。
いしんじ

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