木葉

モリのいる場所の木葉のレビュー・感想・評価

モリのいる場所(2018年製作の映画)
3.7
モリという人の、心、人生の豊かさに、癒され、心安らぐ。
蟻やカマキリ、てんとう虫、草木花、自然と同居し、自宅から殆ど出ない画家の一日を切り取る。
山崎努が熊谷守一をそのまま生き、樹木希林も自然体に連れ添う。二人のあ・うんの呼吸の掛け合いにクスクスほっこり。来客とのやり取りもユーモア溢れ、頰が緩む。
モリに吸い寄せられるかのように、来客がひっきりなしに現れて、また皆がモリに会いたいと思う。
ひっそりと、自分の時間空間を、無限の空間にして、そこが世界、宇宙の中心みたいになる。
モリの一日は自然を観察し同化して、お客さんが来て、美味しいご飯を食べて、私たち観客はそれを映画として観察して、ただそれだけなのに、なぜ、こんなに平和で安らぎ尊い時間を過ごさせて貰った気もちになってしまうのか。
自分の周りにも沢山の命があることを思い出させ、ゆるりと流れる時間、モノや欲を持たずとも素朴にあるがままに生きること、目の前の暮らしの有り難さ、人生をもっと大切に生きたいと思わさせてくれる秀作だ。
木葉

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