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ほえる犬は噛まないのペインのレビュー・感想・評価

ほえる犬は噛まない(2000年製作の映画)
4.3
デビュー作にしてもうほぼほぼ確立されている作家性、ポン・ジュノ節。

ただこのデビュー作はヨルゴス・ランティモスやトッド・ソロンズの作品にも比肩する歪さ全快で、いくらなんでも変な映画過ぎたのか、公開時はあまりヒットしなかったのだそう。

ジャンル分け不可能なジャンルレス映画で、笑いと感動と恐怖が同時に襲ってきます。

そう思うと改めて『殺人の追憶』や『パラサイト~』は彼の持つ本来の作家性を最大限キャッチーに万人が見易いように巧くコーティングされた作品だったのだなとこの処女作を観て思います。

変わらずロケーション選び、その空間の切り取り方は流石という他なく、団地のショットは漏れなく素晴らしい。地下室の撮り方なんかも黒沢清作品的なJホラー風味で楽しいし、住宅内で追いかけっこするシーンの緊張感も見事。黄色を基調としたヴィヴィッドな色使い印象的。

なんてことない脇役のおじさんやおばさんに至るまで顔選びが絶品なのもポン・ジュノ。また、ペ・ドゥナと巨漢女子の凹凸コンビも愛らしい。
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