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最初で最後のキスのrage30のネタバレレビュー・内容・結末

最初で最後のキス(2016年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

クラスの除け者3人を描いた、青春映画。

主人公はゲイのロレンツォと、無口なアントニオ、そしてアバズレ扱いされているブルー。
このクラスの除け者3人がつるむ様になって、仲を深めていくと。
この3人の関係性は『ウォールフラワー』を想起させるというか、ほとんどイタリア版ウォールフラワーと言っても良いかもしれません。

個人的に気に入ったのは、ロレンツォ。
学校でホモフォビアに遭っても、空想の力で対抗するのがユニークだったし、レディー・ガガやgleeなど、ポップカルチャーが彼を助けているのも良かった。
ゲイでなくても、空想をしたり、映画や音楽に救われた人は多いと思うので、意外と共感し易いキャラクターなのではないでしょうか。

3人は学校をズル休みしたり、イジメっ子に復讐したりと、まぁ良くも悪くも学校生活をエンジョイするわけですが、この関係に突然の終止符が打たれます。
ロレンツォがアントニオを誘った事で、3人の友人関係が壊れてしまうんですね。

う~ん、ロレンツォの気持ちも分かりますが、断られる…もっと言えば、拒絶された時のリスクをまるで考えてないのは軽率だし、自分の気持ちを押し付けるのは独善的でもあって。
もうちょっと大人の対応が出来ていれば…まぁ、それはアントニオにも同じ事が言えるのですが、高校生にそこまでの理性を求めるのは酷な気もします。

一方、ブルーの方も、自分からSEXを楽しんだのではなく、レイプされた事に気付くわけですが、これもなかなか興味深かったですね。
性被害の告発が時間をおいてなされると、「どうして、すぐに言わないんだ!」と批判されますが、性被害を自認するのは酷な事だし、だったら、被害者として苦しむより、自分も楽しんだと思った方が楽なのかもしれない。
時間が経って、客観的に考えられる様になって、初めて自分に起こった事が理解出来るのでしょう。
松本人志には是非、この作品を見て欲しいものです。

最終的には悲劇的な結末へと向かう作品ではありますが、実際にあった事件を元に作られたという事で、現実的な問題として考えないといけないし、若者だけでなく、親世代の大人にも見て欲しい作品だなと思いました。
また、その一方で、本作は悲しいだけの映画でもありません。
3人の過ごしたキラキラした日常は、ミュージカルシーンもあったりして、楽しい気分にさせてくれるはず。
だからこそ、後半の展開が辛いわけですが、それも含めて青春映画として味わって欲しい作品です。
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