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パンとバスと2度目のハツコイのeyeのネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます

"パンとバスと2度目のハツコイ"(2017)

恋愛群青劇だけどねじ曲がってる

画家を諦め 恋人に去られ
ある種の低温な状態を表してる
主人公 市井ふみ

彼女は

>私をずっと好きでいてもらえる自信もないし、ずっと好きでいられる自信もない

という独自の恋愛感を持っている

言い換えるならば

傷つきの度合いが人よりも高い

と、同時に

>私は多分、一人でいたい人なんだと思う 寂しくありたいんだと思う

>人に好かれると引いちゃう

という孤独感を表す

ストーリー設定にある

"緑内障を患っていて視野が欠ける"

という部分について

ストーリー上

ふみのどこか閉塞的な部分の
メタファーと感じる

コインランドリーでのワンシーンにて

"孤独"の本棚を整理している
男の子が現れる

男の子は妙な哲学を話す

"本棚"が孤独ではなく

"空間"が孤独と表現してる

ふみがいるコインランドリーもまた

孤独の箱モノ

で、その中に入っているのは

少年と主人公ふみの2人

少年が「孤独はおれが守るから」

に対し、

「たまに来るよ 私には必要だから」

と孤独と隣合わせを語るも
そこに悲壮感・不安感はない

必然として隣にあるように
上手く共存してる

つまり男の子はふみの中にある
ペルソナとも思える

対する初恋の男性 湯浅たもつは
奥さんに浮気され
離婚するも未練を抱えている

彼からも恋愛感の多様さ

はたまた

結婚感の多様さを感じる

ある意味でとても自由だけど
強い責任感を感じることはない

最後に入ってくるナレーション

>魅力の本質を知ってしまっても憧れ続けることができれば…

"憧れ"という部分において
その原体験は幼少期に形成される

好きになると冷めるその構造

察知する能力は高い一方で

男性に対する
根幹の部分への不信感を抱えてる

"初恋の男性"

という視点について

父親の不在が心の形成に大きな影響を与えるのもまた感じられる

もしかしたら

たもつとの出会いは自身の人生観を根幹から変えられるような男性との出会いだった

かもしれない

というストーリーに何となく
羨ましさを感じてしまう

と同時に

フィクションながら2人に

『幸せになってほしいな』

と何となく仄かな期待を抱いてしまう
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