ムテモン

マリア・ブラウンの結婚のムテモンのレビュー・感想・評価

マリア・ブラウンの結婚(1978年製作の映画)
3.7
離れ離れになった婚約者を待ち続ける女性の映画といえば、短絡的には純潔を守り通す描写群がイメージされるだろうが、マリアは戦後復興していく西ドイツ下において狡猾に生気みなぎる世渡りでその社会的地位を強めていく。

自分を愛した他国の男たちと寝ることと、愛する相手を待ち続けることは彼女にとってもファスビンダーにとっても一切矛盾しない。このように人物をアンビバレントな状態に追い込む点においては代表作だけあってわかりやすかった。

細部だが、目まぐるしく場面が変わるせいファスビンダー特有の空間演出が他作に比べ控えめで浅薄に見えた。そのためファスビンダーならもっといい映画はあると感じた。
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