Inagaquilala

アイアン・スカイ ディレクターズカット版のInagaquilalaのレビュー・感想・評価

3.7
2012年に公開され、翌年、この「ディレクターズカット版」のDVDも発売された作品だが、作品の舞台は奇しくも2018年。大統領選挙キャンペーンの一環で月面着陸したアフリカ系アメリカ人(この設定がいい)が、そこで見たのは、なんとナチスの基地だった。第二次大戦後、その科学力を生かし、ナチスの残党が月の裏側に逃げて、着々と反撃を狙っていたという、まさに奇想の設定だ。アフリカ系アメリカ人はナチスにより「白人化」され、極秘のミッションを帯びたナチスの女性と地球に戻るが、やがて月からナチスの巨大宇宙船団が地球へと襲いかかる。

公開当時、酷評が多かったというが、宇宙船「神々の黄昏」号を中心にしてナチスの反抗が始まるあたりから、アメリカを始めとする世界各国の反応が描かれるあたりから、かなり面白くなる。SF作品ではあるが、風刺の効いた政治ドラマになっている。宇宙空間の映像も迫力あるものだし、自分としてはなかなか楽しめる作品だった。たぶん、酷評は、このナチスが月の裏側に潜んでいたというとんでもない設定にもあるとは思うが、とにかく最後のオチもなかなか辛辣ではあるし、作品としても悪くないように思った。
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