トルコの名匠セミフカプランオールが描く近未来のディストピア。
種子の遺伝学者であるエロール(ジャン=マルク・バール)は、磁気壁に囲われた都市に暮らしている。逃げだそうとすると焼かれて即死だ。遺伝子組み換えの種子でのみ人間は生かされている。その都市の農地が原因不明の遺伝子不全に見舞われ、エロールはかつての同僚研究者で失踪したアクマンの研究に興味を示す。アクマンは遺伝子改良に関する重要な論文を書いており、真実を追求する為にエロールはアクマンを探す旅に出るのだが。
主役は『グランブルー』ジャックマイヨール役のジャンマルクパールだ…久々に見た。
私の好みの作品の特徴の一つとして近未来を描くモノクロ作品というカテゴリ(例えば『最後の戦い』『ラ・ジュデ』『アルファビル』などなど)があるのだが、何故こんなにモノクロームが織りなす近未来の画に惹かれるのだろうか?といつもあれこれ考えてみたりする。リュックベッソンの『最後の戦い』を観た時も同じことを考えていた。
色彩が無く情報量が少ない分、感覚が研ぎ澄まされるような気がするのだ。
本作の内容について語ると哲学的でメッセージ性が強く我々の未来に警笛を鳴らしている作品のように思います。何気にセリフ一つ一つに耳を傾けると今私達に起こりつつあることの本質をつかれているに違いないと。深すぎてはっとしたよ。
(人は常に夢の中。目覚めるのは死ぬ時だ。)
(人間は自然をいじくるたび、自然を改変するたび、自分自身を少しずつ壊している。)
(穀物の種を改変することは、人間の中にある何かを変えることなのだ。)
エゴが目を曇らせるんだよ